別居を始めた経緯のようなもの

くらし

ようやく、別居に踏み切った。

ワンルームのマンションを見つけた。

わずかな荷物をまとめて、自宅を出た。

少しの家財を新調し、生活の基盤を整えた。

やったぞ、俺は自由になった。

離婚を意識するようになってここまで1年以上かかった。

いろんな感情が交錯して思い切れなかった。

世の中の夫婦は幸せだなんて思っていないのが普通ではー

がまんさえすれば、いつか良いこともあるんじゃないかー

楽しいときだって過ごしたじゃないか。本当に手放す気かー

別れた後の、相手の生活はどうなるー。

けれどもいったん家を出ると、そんな考えは消し飛んだ。

抱えていたあらゆるネガティブな気持ちがなくなった。

前を向いて、より良い将来を目指して頑張ろう、

そんなふうに思えるようになった。

毎朝、6時前に目を覚ます。

ウォーキングしたり、ゆっくり本を読んだりしてもまだ8時前だ。

健康に配慮した朝食をとってお弁当を作り、出勤する。

帰宅後は軽い夕食。余裕があればにジムに行く。

そうして1日が終わる。

旅行にも行ってみた。

元々旅好きだったが、結婚してから行かなくなった。

余裕がなかったからだ。

でも、もう彼女との老後を心配する必要はない。

北海道に行った。

久しぶりに見る初めての景色。いくつかの出会い。おいしい食べ物。

新鮮だった。刺激的だった。また日々頑張ろうという気持ちになった。

趣味の登山も再開した。

何をためらっていたのだろう。もっと早くラクになれたのに。

夫婦関係において、譲歩はあって当然だ。

なんの不満もない夫婦なんて珍しいだろう。

ふつうは、話し合いで解決していくものだと思う。

けれども。

結婚して以来、不安に押しつぶされそうだった。

相手の考えが全く分からなかった。

それでも夫婦仲は、うわべだけなら良かった。

妻は料理はうまいし、掃除好きだし、

私のくだらない話にも付き合ってくれる。

だが、大事な場面での話し合いができない。

妻は結婚半年後、相談もなく仕事を辞めてきた。

家族カードで勝手に大きな出費をする(俺は請求で知ることになる)。

マイナスになった家計収支を差し出しても、そっぽを向いて見ようとしない。

考えさえ説明してくれれば理解できたかもしれないのに、

だんまりを決め込んでしまう。

そして、いつしかなあなあになってしまう。

私は元々、彼女にぞっこんだった。

問題さえ持ち出さなければ関係は良いのだからと、

口をつぐむことも多々あった。そして貯金から赤字を補填していた。

しかし趣味をやめ、本を買うことをやめ、ランチ代を切り詰めても

資産はものすごいスピードで減っていく。

節約しても、彼女がそれ以上に使ってしまう。

結婚から3年経ち、貯金が底をついた時にようやく目覚めた。

この結婚に未来はない。

彼女の贅沢なライフスタイルを維持するために、

私の一生をみみっちく、せせこましいものにするのはごめんだ。

そうして離婚を意識するようになり、家族カードを止めた。

半年あまりで別居のための資金ができた。

うまく行かなくなった人生を取り戻すのは、ときに簡単なのだと初めて思った。

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